かつてインドシナの植民地時代の面影が残る熱帯の都市は、現在、活気あふれる大都市へと変貌を遂げてきた。歴史や文化に彩られた都市の中には、整備された病院が点在し、医療の発展を実感することができる。ベトナム最大の都市であるという特徴から、多くの人々が暮らし、また世界各地からの訪問者も多いため、病院の果たす役割も非常に大きい。この都市においては、古くから西洋医学が早く取り入れられてきた背景がある。19世紀末にはフランスの影響を受け、西洋式病院の設立が進められた。
当初はきわめて限定的な設備を持つにすぎなかったが、時を経て人口増加と伴に医療機関の数も質も向上していった。経済成長にともなって医療需要は増し、現在では市内にいくつもの総合病院や専門病院が存在しており、多岐にわたる医療ニーズに対応している。 外国人居住者や旅行者が多い土地柄もあり、英語をはじめ多言語での対応やサービスも充実しつつある事情が特徴的である。総合病院のほか、小児科やがん治療など専門性の高い分野でも医療施設が充実している。これに加え、伝統医学の分野も独自に発展しており、西洋医療と伝統医療とが融合したサービスを提供する施設も少なくない。
健康診断や予防接種などの一次医療から、外科手術や集中治療などの高度医療まで、さまざまなニーズに応じることができる体制が整えられている。施設ごとに提供されているサービスは異なるが、待合室や病室が清潔で設備の新しい病院も多い。都市の中心部には、外来患者に迅速に対応できる窓口を設けるなど、効率的な診療体制を導入する施設が多様に存在する。また、多くの市民や滞在者が利用しやすいよう、早朝や夜間の時間帯でも診療を行う病院もある。緊急医療の場合、救急車の配備はもちろんのこと、救急処置を専門とする部署も存在し、万一の際にも頼ることができる環境が形成されている。
各医療機関では、医師や看護師、技師などの医療スタッフが十分に教育され、専門知識や経験を活かして患者の対応にあたっている。公立、私立、さらには国際病院の枠組みがあり、費用やサービス内容、受診可能な診療科などには違いが見られる。公立の病院は受診費用が比較的低く設定されている反面、混雑しやすい傾向がある。私立病院や国際病院の場合、先進的な医療技術や充実した設備、高度な接遇がそろっている情報が多い。外国人医師が在籍したり、通訳スタッフが常駐する施設もみられる。
一方で、都市が抱える課題として市内人口の増加にともなう医療従事者の不足や、医療環境のバリアフリー対応の遅れなども指摘されている。診療を受ける際は、身分証明書や保険証の提示が求められたり、支払い方法の確認、各種予防接種証明なども必要となる場合がある。医療機関によっては予約受付や問診がオンラインで完結する場合もあるので、事前に各病院のシステムを理解しておくことが利便性の向上につながる。長期滞在者の中には、毎年恒例の健康診断やがん検診、各種予防接種のために病院を利用する人も多い。また、感染症対策にも病院は大きな役割を果たしており、発熱や咳などの症状に対してすみやかに検査、治療、隔離対応などがされる体制が整う。
近年の世界的な疫病流行時には、発熱患者専用の診察や検査体制を強化するなど、迅速な対応が注目された。この都市における医療水準は向上を続けており、地域住民や旅行者の健康を支えるだけでなく、海外からの患者を受け入れる「医療観光」の発展への布石も進んでいる。美容整形や歯科治療、内視鏡検査といったニーズにも応える施設が増加している。国際的な競争力強化の面でも、最新機器の導入や専門知識を持つスタッフの育成に力を入れている。都市生活において医療インフラの充実は何よりも安心材料となる。
災害への備えや、熱帯特有の感染症対策、慢性疾患への長期的なケアなど、病院はさまざまな役割を担い、日常生活に欠かせない存在であり続けている。医療機関の継続的な改善と質の向上によって、今後も安全な生活環境が広がっていくことが期待される。かつてインドシナの植民地時代の影響が色濃く残るベトナム最大の都市では、急速な経済成長と共に医療インフラが格段に発展してきた。19世紀末から西洋医学が導入され、近年では総合病院や専門病院など多種多様な医療機関が整備されている。外国人や旅行者が多い都市特性から、多言語対応やサービスの充実が進み、国際病院や私立病院では高度な医療技術や優れた設備、外国人スタッフの配置も見られる。
一方、公立病院は費用が抑えられるが混雑しやすく、公私それぞれに特徴がある。小児科やがん治療の専門施設に加え、伝統医療との融合を図る病院もあり、幅広い医療ニーズに対応可能な体制が整っている。感染症や災害への迅速な対応、健康診断や予防接種などの日常的なケアも充実し、オンライン予約や多様な支払い方法の導入など利便性も向上している。都市人口の増加による医療従事者不足やバリアフリー対応の遅れといった課題は残るものの、継続的な改善が進められている。今後は医療観光分野での発展も期待され、住民だけでなく訪問者にも安心をもたらす都市の発展に医療機関が大きく寄与している。